特集 胎盤を多角的に理解する
12.胎盤に起因する一絨毛膜双胎特有の疾患
村越 毅
1
1聖隷浜松病院産婦人科・総合周産期母子医療センター
キーワード:
一絨毛膜双胎
,
吻合血管
,
双胎間輸血症候群
Keyword:
一絨毛膜双胎
,
吻合血管
,
双胎間輸血症候群
pp.541-548
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000001186
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要旨
胎盤の基本的構造は単胎でも双胎でも同じであるが,一絨毛膜双胎では吻合血管の存在により両児間の血流移動が引き起こされることが特徴である.吻合血管により双胎間輸血症候群や無心体などの一絨毛膜双胎に特徴的な疾患を発症する.また,これらの治療には吻合血管の理解が必要となる.
吻合血管には,動脈-動脈,静脈-静脈,動脈-静脈があり,それぞれ特徴的な役割を示している.動脈-静脈吻合の役割は,動脈側の児から静脈側の児への血流の移動であり,動脈-動脈および静脈-静脈吻合は両児間の血圧の格差を是正する方向に血流を移動させる.これらの吻合血管の働きを理解することで一絨毛膜双胎の病態の理解を深めることができる.そのため,病態の理解に加えて,妊娠初期の膜性診断や娩出後の胎盤の肉眼的な評価も極めて大切である.

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