特集 日常診療で出会ったら? アルコール・薬物・ギャンブル・ゲーム依存を知る
物質依存
アルコール依存の身体合併症
堀江 義則
1
1慶洋会ケイアイクリニック
キーワード:
アルコール性肝障害(アルコール関連肝疾患)
,
代謝機能障害アルコール関連肝疾患
,
高血圧症
,
代謝障害
,
悪性新生物
Keyword:
アルコール性肝障害(アルコール関連肝疾患)
,
代謝機能障害アルコール関連肝疾患
,
高血圧症
,
代謝障害
,
悪性新生物
pp.1385-1389
発行日 2025年12月1日
Published Date 2025/12/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000001589
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Headline
・過剰のエタノール摂取は,その代謝過程でのアセトアルデヒド産生やNAD依存性の酵素反応の抑制などにより,肝臓のみならず,膵臓,脳,心臓をはじめとする全身の臓器障害を引き起こす.
・欧米では女性20g/日,男性30g/日超の飲酒に関連した肝障害をアルコール関連肝疾患と診断し,そのうち飲酒量が女性20~50g/日,男性30~60g/日の中等量飲酒者でメタボリックシンドロームの基準の一部を満たす脂肪性肝疾患の場合は,代謝機能障害アルコール関連肝疾患(MetALD)と診断する.
・わが国では女性40g/日,男60g/日以上の長期にわたる過剰の飲酒が主な原因の肝機能障害をアルコール性肝障害と定義しているが,全肝硬変に占めるアルコール性の割合は急速に増えてきており,約35%を占めている.
・習慣的な多量飲酒は高血圧症や不整脈,脳出血などの脳血管障害,高尿酸血症などの代謝障害の危険因子にもなる.血圧変動から,飲酒後の入浴で死亡する例も多い.
・多量飲酒は,口腔・咽頭・喉頭癌,食道癌,肝臓癌,膵臓癌,大腸癌,乳癌のリスクを上昇させる.口腔咽頭喉頭癌,食道癌は,高濃度アルコール飲料でリスクが上昇し,アルデヒド脱水素酵素2型の欠損者でもリスクが上昇する.

Copyright © 2025, SHINDAN TO CHIRYO SHA,Inc. all rights reserved.

