特集 よくわかる! 精神疾患対応 これ1冊―内科医と精神科医の連携のために
第1部 精神科との相互理解を基盤とした連携に向けて
4 身体疾患に伴う精神医学的問題と精神疾患の身体医学的問題―リエゾンコンサルテーション精神医学の重要性
明智 龍男
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野
pp.25-29
発行日 2024年3月26日
Published Date 2024/3/26
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000647
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Summary
1.身体疾患や身体医学的問題と精神疾患や精神医学的問題の関係は深くそして複雑である.したがって,一般的な身体疾患を扱う医療者にも精神医学的な側面に留意する必要があり,同時に精神科医にも常に身体疾患や身体医学的問題を意識する視点が求められる.
2.うつ病に罹患すると4大身体疾患(がん,心血管疾患,脳血管障害,糖尿病)になりやすくなり,これら4大身体疾患になるとうつ病の併存率が高くなる.さらに問題なのは,うつ病を合併すると,これら身体疾患の予後がいずれも悪くなることである.
3.統合失調症や双極症などの患者は一般人口に比べて,寿命が10~20年程度短いことが知られており,この原因として多くの患者が心血管疾患などいわゆる生活習慣病で死亡していることが知られている.
4.その背景としては,抗精神病薬の長期内服による代謝異常の問題が示唆されている.
5.身体と精神の両者を常に念頭におく対応が必要であり,その連携を推進する分野の1つがリエゾンコンサルテーション精神医学である.
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