特集 ポストコロナ時代の感染症診療
第II章 感染症診療各論
[4]呼吸器感染症
4 肺膿瘍
皿谷 健
1
1杏林大学呼吸器内科
pp.114-116
発行日 2023年3月23日
Published Date 2023/3/23
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000137
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Summary
1.肺の壊死を考えさせる液体貯留と嫌気性菌の関与を疑う液体内のairの存在,喀痰の臭いの出現は肺膿瘍に合致した所見である.
2.喀痰の嫌気臭は誤嚥症例で肺膿瘍や膿胸として出現し,本人や家族が認知していることがあるため病歴が重要となる.
3.誤嚥性肺炎は軽症から低酸素血症を伴う重症肺炎まで様々であるが,20%が肺膿瘍に移行する.
4.肺炎に関与する嫌気性菌の主要な原因菌はBacteroides melaninogenicus,Fusobacterium nucleatum,anaerobic Streptococci(Peptostreptococcusなど)である.これらの多くは混合感染し,非嫌気性菌は,microaerophilic Streptococci(微好気性連鎖球菌)が多い.
5.膿瘍は壊死に伴い空洞病変になり得るが,肺癌の可能性は常に考慮しておく必要がある.
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