特集 肺炎診療のピットフォール—COVID-19から肺炎ミミックまで
【感染性肺炎の合併症と鑑別疾患】
❷肺炎随伴性胸水、膿胸、肺膿瘍
皿谷 健
1
1杏林大学 呼吸器内科
キーワード:
空洞性病変
,
肺膿瘍
,
肺癌
,
胸水LDH/ADA比
,
胸水量
Keyword:
空洞性病変
,
肺膿瘍
,
肺癌
,
胸水LDH/ADA比
,
胸水量
pp.194-198
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202996
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ピットフォールCase
肺膿瘍として初期治療された肺扁平上皮癌の1例
患者:60歳、男性。
既往歴:特になし。
喫煙歴:50本/日、20歳〜現在まで。
現病歴:1カ月前からの発熱(38℃までの間欠熱)を主訴に受診。胸部X線写真(初診時:図1Ⓑ)で左中肺野に4cm程の空洞性病変を認めた。肺膿瘍の診断でアモキシシリンクラブラン酸の内服加療を2週間行うも発熱は持続し、胸部X線写真で空洞壁の肥厚と空洞内の液体貯留(図1Ⓒ)を認めた。胸部単純CT(図2)では左下葉に長径5cmほどで厚さ4mmほどの壁の厚い空洞性病変を認め、内部は液体貯留を伴っていた。同日、肺膿瘍の診断で入院となった。
入院時現症:バイタルサインは38.2℃の発熱以外は正常。左背側肺底部で肺胞呼吸音の低下を認める。
入院後経過:アンピシリンスルバクタム12g/日の点滴治療を行うも発熱は持続し、末梢血の炎症所見は高く(CRP 12mg/dL)、血痰を伴うようになった。後日、健診元から取り寄せた胸部X線写真(半年前:図1Ⓐ)では、左中肺野にわずかに壁の薄い空洞性病変を指摘できたため、喀痰細胞診および気管支鏡検査を施行し、肺扁平上皮癌(stageⅢA)の診断となった。
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