特集 認知症を取り巻く現状:バイオマーカー、根本治療薬ってなに?
認知症診療の基本 診断、治療、BPSD対処の基本 血管性認知症
猪原 匡史
1
1国立循環器病研究センター 脳神経内科
キーワード:
MRI
,
認知症-血管性
,
リスク
,
脳アミロイド血管症
,
CADASIL
,
ラクナ梗塞
,
Binswanger病
Keyword:
Dementia, Vascular
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Cerebral Amyloid Angiopathy
,
Risk
,
Stroke, Lacunar
,
CADASIL
pp.579-585
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00697.2022195223
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<Headline>1 脳は全身の2.5%の重量でありながら、全身の20%近い血液が灌流する臓器であり、循環障害が認知症に、すなわち血管性認知症に直結する。2 血管性認知症は、(1)認知症があり、(2)画像上、脳血管障害がみられ、(3)両者の因果関係がある、という3点を満たすことがその診断の要諦である。3 血管性認知症には、(1)皮質性(多発梗塞性)、(2)皮質下血管性(小血管病性)、(3)認知症の成立に必要な領域限局性(局在病変型)、(4)低酸素・低灌流性、(5)出血性、(6)混合型(Alzheimer型認知症の合併)、といったいくつかの病型がある。4 典型的な症状として、(1)実行機能障害や注意障害(記憶障害は必発ではない)、(2)非均一な高次脳機能障害、いわゆる「まだら認知症」、(3)運動麻痺、偽性球麻痺(構音・嚥下障害、病的泣き笑い)、脳血管性パーキンソニズムなどの局所脳機能障害、があげられる。5 超高齢社会では、Alzheimer型認知症にもしばしば脳血管障害の合併がみられ、認知症診療には「ヒトは血管とともに老いる」という視点が重要である。
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