特集 産婦人科における素朴な疑問と解説(1)婦人科編
婦人科 卵巣奇形腫で脳炎が起こるのはなぜ?
亀井 聡
1
1上尾中央総合病院 神経感染症センター
キーワード:
奇形腫
,
免疫療法
,
卵巣腫瘍
,
評価基準
,
脳炎-抗NMDA受容体
Keyword:
Immunotherapy
,
Teratoma
,
Ovarian Neoplasms
,
Anti-N-Methyl-D-Aspartate Receptor Encephalitis
pp.1101-1106
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.34433/J00525.2022353393
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NMDA受容体脳炎では、18~45歳女性例の58%に卵巣奇形腫が確認される。発症機序は、腫瘍神経組織からNMDA受容体が放出され、抗原提示細胞(APC)が活性化する。APCは局所リンパ節に移行し免疫細胞を介し形質細胞からNMDA受容体抗体がつくられる。この抗体は血行性に脳に移行する。脳内で活発に抗体がつくられる。抗体とNMDA受容体が結合し内在化することで、神経細胞の後シナプス膜にあるNMDA受容体が減り、脳炎を発症する。しかし、治療で抗体が減ると、内在化したNMDA受容体が再度シナプス膜に戻り回復する。
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