連載 病原微生物・見方をかえたら・6
MRSA
益田 昭吾
1
1東京慈恵会医科大学
pp.768
発行日 1996年9月25日
Published Date 1996/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903774
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MRSAは黄色ブドウ球菌の一種です.黄色ブドウ球菌は,健康者の半分近くの人の鼻腔から検出され,病原菌というより常在菌といった方がよいくらいありふれた細菌です.しかし身体のどこかに創傷があると,好んでその部位に感染巣をつくるので代表的な化膿菌として知られているわけです.
院内感染の原因菌としても問題を起こします.その多くは人為的に作られた創傷といえる,手術やカテーテル挿入の際の皮膚や粘膜の損傷に関係するものがほとんどです.この意味で黄色ブドウ球菌による院内感染症は医原性感染症と言えます.ですから大規模だったり,複雑な手術やカテーテルによる治療が頻繁に行なわれるようになった結果,抵抗力の弱い患者がふえた現在では,黄色ブドウ球菌による感染症はそれだけ問題になることが多いと考えられます.
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