連載 衛生行政キーワード・121
薬剤耐性(AMR)対策の現状
野田 博之
1
1厚生労働省健康局結核感染症課
pp.840-845
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208761
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はじめに
近年,薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)対策は世界的な公衆衛生上の課題となってきている.2014年に発表されたO'Neillらの報告によると,世界におけるAMRによる死亡者数は2013年時点では少なくとも70万人であるが,仮にAMR対策が行われない場合には,2050年にはその死亡者数は年間1,000万人になると推定されている1).
上記のような世界的な危機感を背景として,2015年5月に世界保健総会において「AMRに関する世界行動計画」(Global action plan on antimicrovial resistance)2)が採択された.また,2015年に開催された先進7カ国首脳会議(G7)エルマウサミットや2016年に開催されたG7伊勢志摩サミットにおいてもAMR対策が課題の1つとして取り上げられた.さらに,2016年9月には国連総会ハイレベル会合において世界中の首脳陣が集い,その対策が議論された.
以上のような状況も踏まえ,わが国では,2016年4月に公表された「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」3)に沿ってAMR対策が進められている.
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