連載 いま,世界では!? 公衆衛生の新しい流れ
WHOにおける薬剤耐性(AMR)対策
中安 優奈
1
,
井上 肇
2
1横浜市立大学医学部
2WHO Special Representative of the Director General for AMR
2WHO Special Representative of the Director General for AMR
pp.846-849
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208762
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はじめに
世界保健機関(World Health Organization:WHO)は2017年7月7日に,淋病の治療薬に対する耐性菌が増加しているという声明を発表した.淋病は世界で年間に約7,800万人が罹患する性行為感染症であり,耐性菌による治療困難な症例の増加は公衆衛生上の深刻な脅威となっている.今後,新たな予防・早期診断・治療の手段とシステムが求められることになるであろう.淋病に限らず,感染症の治療に不可欠な抗菌薬をはじめとする抗微生物薬に対する耐性は近年多く報告されている.
本稿では,世界的脅威として国際社会に注目されている薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)について,その世界的な動向を報告する.
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