Special feature 国内・海外のガイドラインから読み解く 手術部位感染(SSI)対策の正解
■Operation 手術種類別にみたSSI対策の実際
❸心臓血管外科手術
宮原 健
1
,
齋藤 俊英
2
,
大塚 良平
3
1一宮市立市民病院 心臓血管外科 診療局長
2一宮市立市民病院 心臓血管外科 部長
3一宮市立市民病院 心臓血管外科 副医長
pp.332-339
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000083
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はじめに
手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)は回避すべき術後合併症である。心臓血管外科においては,深部胸骨感染症(DSWI)あるいは縦隔炎は臓器・腔のSSIに相当し,頻度は0~4%と少ないものの死亡率は7~47%に及ぶため,発症の予防がとりわけ重要である。本邦における発症頻度は1.8%,死亡率は25.8%である1)。SSIはまた,入院費用の増加や入院期間の延長をもたらす。縦隔炎を発症するとSSIを発症しない場合の79万円に対し,560万円余分にかかり,入院期間はSSIを発症しない場合の17.9日に対し,80日を要する2)。
SSIの予防に関しては1999年に米国疾病管理予防センター(CDC)から『SSI予防のためのガイドライン』3)(以下CDC 1999)が公開された。近年,世界保健機関(WHO)から,『WHO SSI予防ガイドライン』4)(以下WHO 2016),米国外科学会/米国外科感染症学会(ACS/SIS)から『SSIガイドライン,2016改訂版』5)(以下ACS/SIS 2016)が公開され,さらにCDCから,『SSI予防のためのガイドライン,2017』6)が公開された。
本稿では,費用(定価ベース)を含めた一宮市立市民病院(当院)のSSI予防策を紹介し,SSI予防バンドルとしての実際の効果を示す。また近年の3つガイドラインを比較し,相違点や最近のトピックについて言及する。ガイドラインを参考にしつつ,各施設の実状に応じたSSI予防策を選択し,それらをすべて実践することの重要性について述べる。
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