特集 「診断エラー」を科学する!—セッティング別 陥りやすい疾患・状況
【セッティングⅢ】一般外来
❸結核
大藤 貴
1
1国立国際医療研究センター国府台病院
キーワード:
診断エラー
,
肺結核
,
ニューキノロン系抗菌薬
,
tree-in-bud lesion
Keyword:
診断エラー
,
肺結核
,
ニューキノロン系抗菌薬
,
tree-in-bud lesion
pp.597-600
発行日 2022年5月15日
Published Date 2022/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203725
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Case
「繰り返す気管支炎」と考えられていた肺結核の一例
患者:55歳、男性
既往歴:高血圧症、高尿酸血症
生活歴:喫煙;1日20本を35年
現病歴:普段から喀痰が多いことを自覚していた。2カ月前から微熱と咳嗽、喀痰量の増加を自覚し受診した。バイタルサインは体温37.5℃、SpO2 97%、呼吸数15回/分と安定していた。「気管支炎」と考え、ガレノキサシンが処方された。
その後いったん症状は軽快したが、1カ月後に同様の症状があり、ガレノキサシンが再び処方された。「副鼻腔気管支症候群」の可能性があり、耳鼻科の受診を指示したが、忙しくて受診できなかった。
再び同様の症状があり、3回目の受診となった。バイタルサインは安定していた。初めて撮影した胸部X線では、両肺野に粒状影(図1)がみられた。胸部CT(図2)で抗酸菌感染症が疑われた。喀痰抗酸菌検査で抗酸菌塗抹++、拡散増幅法で結核菌が陽性、「肺結核」の診断となった。
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