Special feature 国内・海外のガイドラインから読み解く 手術部位感染(SSI)対策の正解
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手術器具・器材の術中管理
-―手術現場での問題と正しい取り扱い
村越 智
1
1東京大学医学部附属病院 手術部 講師/材料管理部 副部長
pp.312-317
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000080
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はじめに
手術医療は,用いられる器材の適切な使用なくしては成立しない。近年は内視鏡手術やロボット支援手術などの低侵襲手術,あるいは体内にインプラントを留置する手術など,手術手技自体が大きく変化してきている。これら手術手技を可能にしているのは使用する器材の高機能化であるが,一方で構造の複雑化も著しく,その適切な運用には器材の構造や特徴を理解することが必須である。したがって,手術に携わる者は従来から使用されている鋼製小物の扱いに十分精通しておくことはもちろんだが,新しい手術手技のために導入された器材の扱いについても習熟することが求められる。これは,安全で迅速に手術を進めていくうえで極めて大事であり,また,手術中に使用中の器材のトラブルにも適切に対応し,手術を問題なく終わらせることにつながる。
器材の術中管理で特に留意しなければならないのは,破損と汚染である。これらの事象の発生は,手術時間の延長,侵襲度の高い手術術式への変更,あるいは手術部位感染(SSI)につながる可能性があり,手術患者に不利益をもたらす要因となる。したがって,手術中に器材を扱う者は,破損や汚染予防に努めると同時に,手術中にこれらの事象が起こってしまった場合でも適切な対応ができるようにしておくことが大事である。
本稿では,特に手術中の器材の破損の予防と汚染時の対応に焦点を当てて述べる。
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