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教育
カテーテル関連尿路感染症(Catheter-Associated Urinary Tract Imfection:CAUTI)の予防と尿道留置カテーテル管理に教育は不可欠となっており,対象は医療従事者のみならず,患者本人や家族を含めた教育が必要である。米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)のガイドラインでは,無菌的なカテーテル挿入とカテーテル維持管理の正しい手技を理解している適切な訓練を受けた医療従事者,家族,患者本人のみがカテーテルを扱うよう徹底させるとある1)。米国医療研究・品質調査機構(Agency for Healthcare Research and Quality:AHRQ)のCAUTIを減らすための実践ガイドでは,医療従事者やカテーテル管理を行う者には,定期的な教育(例えば挿入と維持に関するテストとコンピテンシー評価による年次教育)を行い,尿道留置カテーテルの正しい技術と潜在的な合併症を強調する必要があることを述べている2,3)。米国の介護施設でCAUTIバンドルを使用するプロジェクトでは,CAUTI発生率が1,000カテーテル日あたり6.42から3.33へ減少している4)。バンドルは「CAUTIを防ぐためCAUTIを忘れないで下さい」として,C:Catheter Removal(カテーテルの除去),A:Aseptic Insertion(無菌的挿入),U:Use Regular Assessments(定期的な評価),T:Training for Catheter Care(カテーテルケアのためのトレーニング),I:Incontinence Care Planning(失禁ケア計画)が含まれている(図1)。無菌的挿入には,訓練を受けた担当者のみがカテーテルを挿入すること,手指衛生を行い無菌的操作で挿入すること,最小のカテーテル経を使用すること,カテーテルの固定器具を使用すること,が含まれている。そして,このプロジェクトの鍵として,リーダーシップと入所者および家族の関与の促進を含めた「チームビルディング」が強調されている。プロジェクトの開始時,中間点,終了時の計3回の学習セッションが実施され,各施設チームがデータのレビューとプロジェクトの実施状況について話し合い,成功と課題を共有することでお互いから学ぶ機会が提供されている。バンドルを活用し,話し合う機会を持つことでPDCA(Plan→Do→Check→Action)サイクルを回し,職員と入所者や家族が目標達成に向けて活動できる仕組みとなっている。プロジェクトの期間中,カテーテル使用比の減少は見られなかったが,感染率は低下している。CAUTIの予防として,カテーテル使用の適応アセスメントと早期抜去があげられるが,どうしてもカテーテルを使用しなければならない事例の感染対策としても,このバンドルは効果が期待できるのではないかと考える。日本の急性期病院の一般病棟や介護施設等では全国的なサーベイランスが行われておらず,CAUTIの発生状況は把握されていない。しかし,高齢者が増加し,介護施設から尿路性敗血症(ウロセプシス)により急性期病院へ搬送される事例や,一般病院で発生する尿路感染が報告されている5)。急性期病院の一般病棟や介護施設でのCAUTIの予防にバンドルを活用できる人材(リーダー)が必要である。
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