交見室
「紫色採尿バッグ症候群の2例」を読んで
朴 勺
1
1滋賀医科大学泌尿器科
pp.981
発行日 1998年11月20日
Published Date 1998/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902467
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本誌に掲載されました症例報告「紫色採尿バッグ症候群の2例」(木村圭一・他,臨泌52:607-609,1998)を興味深く拝読させていただきました。というのも,私は今年の春から琵琶湖の西北に位置する某病院の泌尿器科診療を週1回担当するようになり,カテーテル留置を受けた患者さんの採尿バッグが紫色に着色する症例を同時に2例経験したからです。不勉強な私には医療スタッフにこの現象を説明できず,とりあえず写真を撮って後で調べて説明しようと思っていたのですが,雑事に追われてそのままになっていました。
こんな時にタイミングよく本論文が掲載されましたので,非常に参考になりました。本論文では,採尿バッグが紫色に着色することは決して稀な現象ではないであろうが,日本では18例の報告をみるのみであると述べられています。私自身,10年ほど前に看護婦さんから相談されたことがあるのですが,特に気にすることなく過ごしてきました。今回は同時に2例を経験しましたので,放置できないと考えていたところでした。この論文を読んだ直後に,私は医局にいた5人の同僚に紫色排尿バッグ症候群を経験したことがあるかどうかを尋ねたところ,そのうちの2人は経験したことがあるとのことでした。したがって,このような現象は報告が少ないものの,稀ではないと考えられます。
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