Special feature CDI・ノロウイルス感染症との戦い方 腸管感染予防策
■Scene 腸管感染予防策の最前線―アウトブレイク事例に学ぶ発見から対処までの実際
❹給食施設
緒方 剛
1
1茨城県土浦保健所 兼 竜ヶ崎保健所 所長
pp.75-81
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000022
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給食施設による腸管感染のアウトブレイク
本稿では,病院の給食による腸管感染のアウトブレイク事例およびそこから学ぶ発見から対処までの実際について述べる。腸管感染予防策として,本特集ではCDI[Clostridium(Clostridioides)difficile Infection]およびノロウイルス感染症が取り上げられている。一方,厚生労働省の食中毒統計調査1)によると,2013年から2017年に把握された病院における食中毒の発生状況および原因微生物は,ノロウイルス20件,サルモネラ4件,黄色ブドウ球菌とウェルシュ菌が各2件である(表1)。そこで本稿では,主としてノロウイルスとサルモネラについて,アウトブレイク事例に基づき,腸管感染の発見と対処について記載する。なお,病院給食の食中毒事例は少ないので,記載事例には病院以外の食中毒事例も含めている。
さて,病院の給食施設は,直轄で運営されている場合と,一部の業務を委託している場合がある。いずれの場合も,施設が同一メニューを1回300食以上または1日750食以上を提供する場合には,厚生労働省の『大量調理施設衛生管理マニュアル』を適用することとなっている。また,これ以外の中小規模施設等においても,同マニュアルの趣旨を踏まえた衛生管理の徹底を図ることとされている2)。
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