Special feature 一人ひとりの管理と実施で解決 手指の健康と手指衛生
■Department 場所別『手指衛生の5つのタイミング』の実践
❹高齢者介護施設
佐々木 みゆき
1
1医療法人金上仁友会 金上病院 看護師長 認定管理者・感染制御実践看護師
pp.228-232
発行日 2020年7月15日
Published Date 2020/7/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000141
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はじめに
現在,我が国は稀にみるスピードで高齢化が進んでいる。我が国の高齢化率は28.1%と欧米諸国に比べても高い状況にある。「団塊の世代」と言われる1947年から1949年に生まれた人々が75歳に達する2025年には高齢化率33.3%となり,2036年には3人に1人が高齢者となると推計されている1)。
このような中,2016年度の診療報酬改定以降,高齢者の療養先は在宅療養への移行が推進されている。
我が国の全世帯の半数が高齢者のいる世帯であり,その過半数が「単独世帯」・「夫婦のみ世帯」である2)。そのため,老老介護の現状もあり,すべての高齢者が在宅療養をすることは不可能である。今後,ますます,高齢者施設の需要は増加すると考えられている。
高齢者施設においては現在,介護職員不足問題に加え,一般急性期病院の後方支援施設になっている現状を踏まえると,欧米諸国のLong-Term Care FacilityやNursing Homeなどでも問題となっている3,4)薬剤耐性菌の持ち込み入所者も増加してくることが懸念される。今後,薬剤耐性菌による集団感染などが発生することも推察される。そのような背景の中,どのように手指衛生を推進し,高齢者施設内での感染対策に役立てていくかを述べる。
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