Special feature CDI・ノロウイルス感染症との戦い方 腸管感染予防策
■Update 1 CDIの新しい動きを探る
❸CDIの検査・診断・予防・治療
-―対象患者の考え方と新規薬剤による今後の展望
中村 敦
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科 病院教授/名古屋市立大学病院 感染制御室 室長
pp.44-50
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000017
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はじめに
クロストリジウム(クロストリディオイデス)・ディフィシル感染症[Clostridium(Clostridioides)difficile Infection:CDI]は腸管内に侵入したC. difficileが毒素を産生し,主に腸炎や下痢症を引き起こす疾患である。加齢,重篤な基礎疾患,制酸剤投与,経管栄養などの発症リスク要因を有する患者がC. difficileを獲得し,抗菌薬や抗癌剤などの投与により腸内細菌叢が攪乱された状況下で十分な免疫応答が働かないと,消化管内で活性化,増殖したC. difficileが毒素を産生することによりCDIを惹起する。ただし,C. difficileは毒素非産生株のみならず産生株が健常者に定着することが確認されており,CDIによる下痢なのか菌が定着しているだけなのかを判断するのは簡単ではない。また,治療後の再発もしばしばみられ,抗C. difficile治療薬自体がCDIの発症リスクを上昇させることなどから,新たなCDIの治療戦略が求められてきた。
近年,欧米を中心に重篤なCDIの増加がみられ,院内感染症としての認識も高まってきたことから新たな検査法や治療薬が開発されてきており,最近我が国でもその活用が可能な環境が整ってきている。本稿では,我が国におけるCDIの検査と診断,治療の新たな展望について概説する。
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