Special feature CDI・ノロウイルス感染症との戦い方 腸管感染予防策
■Update 2
ノロウイルス感染症の最新動向
-―疫学から予防までの知っておきたい最新レビュー
片山 和彦
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1北里大学北里生命科学研究所 ウイルス感染制御学Ⅰ・感染制御科学府ワクチン学研究室 教授
pp.51-57
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.34426/ict.0000000018
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はじめに
下痢症ウイルス感染患者は,世界全体で年間数億人規模に上る。ウイルス別感染者数は,1位ノロウイルス(ノーウォークウイルス),2位ロタウイルス,3位はサポウイルス(サッポロウイルス)とアストロウイルスが並ぶ。ノロウイルス感染症だけを取り上げた場合,北米のデータでは,年間約2,000万人がノロウイルス感染症を罹患し,約200万人が病院を受診,40万人が救急に運ばれ,7万人が入院,7,000人が死亡している。我が国に目を移すと,ウイルス性下痢症は国立感染症研究所の推計によると年間100~300万人に上る感染者を数十年にわたり出し続けており,我が国の経済的ダメージは深刻である。このようなことから,国民からのノロウイルスに対する抗ウイルス薬,ワクチンなどに対する要望は高く,行政上も開発優先順位は第4位に位置づけられている。
本稿では,“疫学から予防までの知っておきたい最新レビュー” として,最新のノロウイルスのウイルス学的特徴,我が国における流行の変遷とともに,近年急速に進展しはじめたノロウイルス研究の成果についても概説する。
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