特集 一歩先を目指して再評価 これからのMRSA感染対策
科別MRSA感染対策のススメ 重点強化の考え方とその実践 新生児科 新生児集中治療室(NICU)を中心に
高橋 尚人
1
1東京大学医学部附属病院 小児・新生児集中治療部
キーワード:
院内感染
,
疾病の発生
,
集団サーベイランス
,
ブドウ球菌感染症
,
保菌者状態
,
低出生体重児
,
新生児ICU
,
感染予防管理
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
Keyword:
Carrier State
,
Disease Outbreaks
,
Cross Infection
,
Infant, Low Birth Weight
,
Intensive Care Units, Neonatal
,
Population Surveillance
,
Staphylococcal Infections
,
Infection Control
,
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
pp.327-332
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/J04878.2019061886
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NICUの低出生体重児の感染症の動向
本邦の新生児集中治療室(NICU)では,1980年代後半からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症が報告されるようになった。1996年に出生体重1,000g未満の超低出生体重児における遅発型の重症感染症の全国調査が行われ,98例の症例が抽出され,その原因菌はMRSAが38例(38.8%)と最多で,本邦のNICUにおけるMRSA感染症の重要性が明確になった1)。そこで2000年にNICUにおけるMRSA保菌の全国調査が行われ,その結果,保菌率が0%という施設は11%のみで,保菌率25~49%という施設が最も多く全体の29%を占め,保菌率75~99%という施設が11%もみられることが明らかとなった2)。当時,正常新生児室を含めてTSST-1(Toxic Shock Syndrome Toxin-1)産生MRSA感染症の流行があり3),新生児のMRSA保菌・感染が大きな社会問題となった。日本小児科学 会新生児委員会は情勢に鑑みて,『新生児医療におけるMRSAに関する日本小児科学会新生児委員会の見解』として,NICUからMRSAを排除することは非常に困難であることを学会誌に掲載した4)。
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