特集 一歩先を目指して再評価 これからのMRSA感染対策
科別MRSA感染対策のススメ 重点強化の考え方とその実践 心臓外科
柚木 靖弘
1
,
種本 和雄
,
大石 智洋
1川崎医科大学 心臓血管外科
キーワード:
院内感染
,
集団サーベイランス
,
心臓外科
,
ブドウ球菌感染症
,
感染予防管理
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
,
ケアバンドル
,
手指衛生
Keyword:
Cross Infection
,
Cardiac Surgical Procedures
,
Population Surveillance
,
Staphylococcal Infections
,
Infection Control
,
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
,
Hand Hygiene
,
Patient Care Bundles
pp.312-316
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.34426/J04878.2019061883
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はじめに
近年,心臓血管外科領域では多くの合併疾患を有する高齢者,いわゆるCompromised Hostに対して手術をする機会が増加している。それに伴い医療関連感染(Healthcare Associ-ated Infection:HAI)も年々増加傾向であり,10~20%に及ぶと報告されている1)。手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI),カテーテル関連血流感染,カテーテル関連尿路感染などが多く,このような環境ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus:MRSA)が増加しやすいと考えられる2)。 HAIの中でもSSIは平均在院日数の延長・医療コストの増大をもたらし3),診断群分類別包括評価(DPC)が導入された病院では医療経済的に非常に大きな打撃を受ける。心臓血管外科領域での最も重篤なSSIは縦隔炎であり,その発生頻度は0.5~2%であるが2),人工弁や人工血管などのインプラントに感染することにより再手術を余儀なくされることがある。起炎菌がMRSAであれば治療抵抗性で,その予後は極めて不良(死亡率25~50%)である。 以上のことから,心臓血管外科領域ではMRSAに対して厳重な対策を立てることが極めて重要になる。本稿ではMRSA感染予防と感染防御対策を中心として記述することとする。
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