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はじめに
病室の汚染された環境表面は多剤耐性菌(multidrug-resistant organisms:MDROs)の伝播のリザーバーであり,清掃後であってもMDROsによる頻繁な汚染が生じることが知ら れている1)。MDROsは数日から数週間の期間, 環境表面で生存することが可能である(一部 の例では,数ヵ月間)2)。MDROsに感染ある いはMDROsを保菌していた患者の病室に新た な患者が入院する場合,MDROs獲得のリス クは39~353%増加するとされる[例:メチ シリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resis-tant Staphylococcus aureus:MRSA),バンコ マイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococci:VRE),Acinetobacter]3,4)。また,多 くの研究で病室内環境が適切に清掃されて いないことが報告されており,適切に清掃さ れていた環境表面は50%以下であった5,6)。さら に,清掃を改善する介入を行った研究においても,5~30%の環境表面は汚染されていた5)。 こうした背景から,近年,病室内環境表面におけるバイオバーデンを減少させるため,紫外線照射装置などの新しい感染予防技術の開発が進んでおり,医療機関において臨床応用が期待されている6,7)。本稿では,海外における過去の紫外線照射装置の基礎的および臨床的検討を総括する。また,近年,世界的に懸念されているカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteria-ceae:CRE)に対する紫外線照射装置の殺菌効果について自験例をもとに記述する。
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