特集 感染対策のための院内整備ガイダンスPart2 環境整備編
注目の環境消毒システムを検証する 蒸気化過酸化水素 使用経験からその有効性を考える
田辺 正樹
1
,
新居 晶恵
,
中村 明子
1三重大学医学部附属病院 医療安全・感染管理部
キーワード:
アシネトバクター感染症
,
過酸化水素
,
疾病の発生
,
消毒剤
,
感染予防管理
,
細菌多剤耐性
Keyword:
Acinetobacter Infections
,
Disease Outbreaks
,
Disinfectants
,
Hydrogen Peroxide
,
Infection Control
,
Drug Resistance, Multiple, Bacterial
pp.76-80
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.34426/J04878.2017161442
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はじめに
感染の成立には,感染源(病原体),感染経路,感受性宿主の3要素が必要であり,感染の伝播を防止するためにはこれら3要素に対する対策の検討が必要になる。感染源対策としては,感染経路に応じて患者を個室に収容することや,患者入室中・退室時における患者周囲の環境整備が重要となる。患者退室後の病室の環境整備に関しては,各施設においてマニュアルなどに基づき実施されていると思われるが,院内感染対策上注意が必要な多剤耐性菌,特に多剤耐性アシネトバクター(Multidrug-resistant Acinetobacter bauman-nii:MDRA)など環境中で長期間生存する菌を検出した患者やエボラ出血熱など病原性の高い微生物を検出した患者の退室後の環境整備については,通常とは異なる対応が必要となる場合がある。
本稿では,MDRAのアウトブレイク対応後の環境整備の一環として,蒸気化過酸化水素(Hydrogen Peroxide Vapor:HPV)を用いた環境消毒を行った経験を紹介する。
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