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内容のポイント Q&A
Q1 高次脳機能障害者の地域生活の現状は?
地域生活の現状は百人百様であるが,多くの場合,障害が日常生活に及ぼす影響は,退院後に自宅に戻ってから顕在化する.本人が職場や学校への早期復帰を望んでいても,集中力の低下や予想以上の疲労によって,休職を余儀なくされることが少なくない.支援制度やサービスを活用しながら,回復状況に応じて段階的に復帰を目指すことが,円滑な再スタートにつながる.また地域生活においては,公的なサービスだけでなく,家族,友人,知人,職場の同僚等,身近な人の理解が重要である.
Q2 高次脳機能障害を支える制度とは?
障害のある人を支える制度は,福祉・就労・各種保険等,多領域にわたって整備されているが,障害が知られていない,手続きが複雑,といった理由で,十分に運用されているとはいえない.高次脳機能障害の理解が社会全体に広まり,支援制度が適切に活用されることで,本人と家族が安心して地域で暮らせる基盤が整備されることが望まれる.
Q3 専門職の役割は?
高次脳機能障害では,記憶・注意・遂行機能・社会的行動等に困難や変化が生じることで,日常生活や社会生活が制約される.専門職が,それぞれの専門性を活かしつつ多職種でかかわることで,個別ニーズに応じた環境調整や代替手段の獲得が可能になる.また,専門職は,本人の得意分野や興味を基盤にした目標設定を支援し,その達成に向けてサポートすることで,本人の意欲を高め,社会参加を促進する役割を担っている.
Q4 今後,期待されることは?
高次脳機能障害に限らず,本人の主体性を尊重し,選択や行動を支える仕組みが,地域生活を支える重要な鍵となる.また,より身近な場でサービスを受けられる体制の整備に加え,支援者の専門性向上や啓発活動の充実を通じて,適切な対応が地域全体に広がっていくことが期待される.

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