Japanese
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教育講座
高次脳機能障害者を支える法制度(社会的支援)
Social Support for Persons with Cognitive Dysfunction
白山 靖彦
1
,
市川 哲雄
1
,
吉岡 昌美
1
,
柳沢 志津子
1
,
竹内 祐子
1
,
後藤 崇晴
1
,
北村 美渚
2
,
高橋 美和
3
,
寺西 彩
4
Yasuhiko Shirayama
1
,
Tetsuo Ichikawa
1
,
Masami Yoshioka
1
,
Shizuko Yanagisawa
1
,
Yuko Takeuchi
1
,
Takaharu Goto
1
,
Mio Kitamura
2
,
Miwa Takahashi
3
,
Saya Teranishi
4
1徳島大学大学院医歯薬学研究部
2徳島大学大学院口腔科学教育部
3徳島大学病院
4徳島県保健福祉部
キーワード:
高次脳機能障害
,
社会的支援
,
障害者手帳
,
介護保険制度
,
障害者総合支援法
Keyword:
高次脳機能障害
,
社会的支援
,
障害者手帳
,
介護保険制度
,
障害者総合支援法
pp.710-716
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
- 販売していません
- Abstract 文献概要
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- 参考文献 Reference
はじめに
脳損傷による高次脳機能障害者を支援する場合,診断,治療,リハビリテーションの医療面だけでなく,社会的支援を同時に行うことは,退院後のQOL維持・向上に欠かせない.社会的支援とは,障害年金などの経済的補償や,介護保険制度,障害者総合支援法などを活用したサービスの提供について,活用可能な法制度に基づき支援することである.社会的支援は,一般に院内の医療ソーシャルワーカー(MSW)が専門とする領域であるが,医師をはじめとする多職種の医療従事者が熟知していることで,患者やその家族に対し,より質の高い医療が提供できる.高次脳機能障害者やその家族を前にした際,まずは,退院後の地域・社会生活の継続を見据えた支援が必要である.病前に就労していた者であれば,就労(復職)に向けたサポートや経済的困窮などの解消であり,重度高次脳機能障害者であれば,居場所の確保やサービスの利用,そして家族負担感の軽減などである.すなわち,社会的支援の戦略を組み立てる場合,「お金」と「サービス」の視点が重要となる.治療の継続に関しても,お金がなければ中断を余儀なくされ,予後は悪化する.在宅などで適切なサービスが受けられなければ家族は疲弊し,結果的に当事者の生活が脅かされる.したがって,本稿では,「高次脳機能障害者を支える法制度」1-5)と称し,経済的補償と各種支援制度とに分け,特にリハビリテーション関係者が知っておくべき法制度のポイントについて概説する(図1下線部).
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