特集 小児リハビリテーションの5W1H─超少子時代を迎えて
第3章 小児リハビリテーションの実践
Column 障害のある子どもと家族(親・兄弟姉妹)を支えるリハビリテーション専門職の役割
里中 綾子
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1愛知淑徳大学健康医療科学部医療貢献学科理学療法学専攻
pp.1419-1420
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.32118/cr034131419
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はじめに
2025年3月にタイの農村部に暮らす脳性麻痺児の家庭訪問を行い,後日,共同研究者達と症例検討を行った際,子どもの希望と親の希望が一致しないためどのように支援するのが望ましいかについて議論した.子どもは学校へ行くことを希望しているが,学校が遠く寮に入らなくてはいけないため親は心配で反対しているという状況であった.一方,わが国において顕著な問題は,障害のある子どもが成長し,自立した生活を希望するようになった段階で,親や家族がその意思に反対し,自立を妨げるケースが少なからず存在することである.すなわち,「子離れできない親」や「精神的に子を手放せない親」,さらには「子の自立を阻害する親」の存在は,学齢期に留まらず,障害のある当事者の人生全体にわたって影響を及ぼしている可能性がある.このように,障害があっても自己決定権をもちたいと望む子ども(または障害者)と,それを許容しない家族との間には,「自立」と「支配」の葛藤が存在していることを理解する必要がある.
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