Japanese
English
特集 肥満症とリハビリテーション治療
小児の肥満−対策と治療
Childhood Obesity:Prevention and Treatment
原 光彦
1
Mitsuhiko Hara
1
1和洋女子大学家政学部健康栄養学科
キーワード:
小児肥満の疫学
,
小児肥満の原因
,
小児肥満症
,
小児肥満症の治療
Keyword:
小児肥満の疫学
,
小児肥満の原因
,
小児肥満症
,
小児肥満症の治療
pp.1023-1030
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034101023
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内容のポイント Q&A
Q1 小児肥満の統計は?
小児肥満は肥満度で判定し,小中学生では肥満度が+20%以上を肥満とする.肥満度+20%以上の肥満傾向児の出現頻度の年次推移は,1970〜2000年までは,2〜3倍に増加し,2000年以降COVID-19パンデミック前年までは横ばいからやや減少,COVID-19パンデミック以降は急激に上昇し,2022年度の小学生の肥満傾向児の頻度は,男児が14.5%,女児が11.4%に至っている.
Q2 小児肥満の原因は?
肥満には,原発性肥満と二次性肥満があり原発性肥満が大部分を占める.原発性肥満の原因は多岐にわたり,胎内環境,分娩様式,新生児・乳児期の栄養法,離乳開始時期,食事内容や食習慣,身体活動や運動習慣,短い睡眠時間,貧困,いじめや不登校等が複雑に関与している.
Q3 小児肥満の成長発達への影響は?
小児肥満は,成長発達に悪影響を及ぼしやすい.成長に関しては,思春期初来を早めるばかりでなく身長停止年齢も早めるため,幼児期や学童期には比較的高身長だった者も成人期の身長は平均的かやや低い例が多い.発達に関しては,粗大運動,微細運動,記憶力,注意力,課題の遂行能力,言語発達の低下やうつ,不安障害が生じやすいことが報告されている.
Q4 小児肥満の対策と治療は?
小児肥満の予防の主なターゲットは幼児期である.治療対象者は,小児肥満症や小児期メタボリックシンドローム,治療可能な二次性肥満である.小児肥満症や小児期メタボリックシンドロームの治療は,食事運動療法と行動療法の併用であるが,最近,薬物療法や減量・代謝改善手術(肥満外科療法)も行われるようになってきている.

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