支援機器の現在と未来-普及に向けた取り組み
1.支援機器の現状と進歩 (総論)
大高 恵莉
1
1刈谷豊田総合病院リハビリテーション科,国立長寿医療研究センター健康長寿テクノロジー応用研究室
キーワード:
支援機器
,
介護テクノロジー
,
活動支援
,
リハビリテーションアプローチ
Keyword:
支援機器
,
介護テクノロジー
,
活動支援
,
リハビリテーションアプローチ
pp.968-972
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034090968
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支援機器をめぐる世界的な動向
国際標準化機構(International Organization for Standardization;ISO)の定義によると「支援機器(assistive products)」とは,人の機能を最適化し障害を軽減する製品全般を指す 1).障害に配慮した特定の器具に加えて,障害のない人も利用可能な一般的な製品を含む,包括的な概念である.また,世界保健機関(World Health Organization;WHO)および国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health;ICF)においても「支援製品・支援技術(assistive product and technology)」は,日常生活の助けとなるよう適合あるいは特別に設計された機器・製品・技術と表現されており 2),同じく包括的な概念ととらえられる.実際に近年の支援機器は,従来の福祉機器・用具(technical aids)のイメージよりも多様性に富んでおり,動力源としてのモーターや環境センサー,映像・音声技術等も加わることによって,身体の物理的な支持にとどまらず時間的・空間的により幅広いサポートが可能となった.たとえば,認知機能やコミュニケーションを支援するスマートフォンやソフトウェアが,杖や車椅子,義肢装具等と並んで最もニーズが高い製品のリストに挙げられている 3).いずれにしてもその使用目的が,機能および自立の維持向上とwell-beingの増進である,という点は重要なポイントである.

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