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特集 医療と福祉の工学連携
高齢化先進国日本における福祉と介護テクノロジーの連携
Collaboration between welfare and care technology in Japan, a country with an advanced aging population
峰村 浩司
1
Koji Minemura
1
1厚生労働省老健局高齢者支援課
1Division of the Support for the Elderly, Health and Welfare Bureau for the Elderly, Ministry of Health, Labor and Welfare
キーワード:
介護テクノロジー
,
CARISO
,
福祉用具
Keyword:
介護テクノロジー
,
CARISO
,
福祉用具
pp.465-473
発行日 2025年5月10日
Published Date 2025/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530050465
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高齢者福祉が直面する課題
介護保険制度の創設からまもなく25年目を迎え,介護保険サービスはわが国の社会になくてはならない社会基盤となった.しかしながら,介護保険を取り巻く環境は大きな変化に直面している.まず需要者である高齢者の数である.2025年には全団塊の世代が75歳以上になるとされ,その後も高齢者の増加は続く.特に要介護認定率が高い85歳以上の世代が増加する影響が懸念される註1.認知症の方や単身高齢者世帯も増加するとの予測もあり註2,よりきめ細かなサービスや社会と共生する仕組みが必要となる.
他方,サービスの供給量は拡大してきているが,足元で進行している物価高騰の影響をはじめ,さまざまな経営上の課題に直面している.その最たるものが人材確保の困難さである.人材不足は高齢者福祉の分野に限らず労働集約型産業に幅広く共通する課題である.都市部は労働人口は多いがそのぶん需要も多く,高齢者人口は今後急増する.地方部は高齢者人口は少なくなっていくが,労働人口も急激に減少する.いずれの地域でも人材不足問題は発生する.わが国はこれまでのところ高齢者や女性,あるいは外国人の働き手を増やすことでなんとか対応してきたといってよい.ただ,そういった対応にはおのずと限界があり,頼れるテクノロジーは徹底して活用するしかない.残念ながら,まだ人手を完全に代替し得るテクノロジーは存在しない.それでも開発企業や一部の先進的な介護事業者の努力により,介護職員の負担を軽減できるような機器は市場に普及しはじめてきた註3.

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