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内容のポイント Q&A
Q1 認知症に対する非薬物療法の意義は?
認知症に対する治療には,薬物療法と非薬物療法があり,両者を組み合わせて治療が行われている.どちらも欠かすことのできない治療法であるが,非薬物療法は認知症の行動・心理症状(BPSD)には非薬物治療を薬物治療より優先的に行うことを原則とすることが『認知症疾患診療ガイドライン2017』に謳われており,BPSDの改善に有用である.
Q2 脳・身体賦活リハビリテーションとは?
脳・身体賦活リハビリテーション(以下,脳活リハ)は,脳が担う認知機能だけでなく,身体機能も賦活し,家族介護者同伴のもと,なるべく生活機能と生活の質(QOL)を維持しながら活動を継続できることを目指す包括的なリハビリテーションのことをいう.脳活リハでは,「認知」「刺激」「行動」「感情」に関するアプローチに,運動療法や日常生活訓練を組み合わせた治療を行う.
Q3 認知症のリハビリテーションに評価は必要か?
「適切なケアを受けるために評価が必要である」と考える軽度認知障害(MCI)や認知症の人は多く,テーラーメードのリハビリテーションを実施するためにも詳細な評価が必要である.評価は,認知機能だけでなく,神経症状や身体機能,日常生活活動(ADL),手段的ADL,社会活動,性格や趣味,介護保険サービスの利用状況,家族介護者の介護負担感等も含めて実施する.
Q4 脳・身体賦活リハビリテーションはどのように実施するか?
当事者の思いやニーズに配慮しながら運動や認知賦活,コミュニケーション練習等のアプローチを組み合わせて,複合的なリハビリテーションプログラムを提供する.認知症の重症度や生活様式によって必要な訓練プログラムが異なるため,個人や集団の性質を考慮してプログラムを選択し,共に暮らす家族介護者の介護負担の軽減やQOLの向上を目的に,疾患理解や介護スキルの向上に向けたアプローチも並行して行う.
Q5 脳・身体賦活リハビリテーションにエビデンスはあるか?
包括的な脳・身体賦活リハビリテーションを1年間実施したMCIとアルツハイマー型認知症の人では,実施しなかった人に比べ,有意にADLの低下が抑制されていた.また,『認知症と軽度認知障害の人および家族介護者への支援・非薬物的介入ガイドライン2022』では,運動を中心に,認知刺激,コミュニケーション支援,家族介護者に対するアプローチ等の有用性が示されている.

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