知っておきたい! がんサポーティブケア
7.がん治療における皮膚障害
清原 祥夫
1
1静岡がんセンター皮膚科
キーワード:
ざ瘡様皮膚炎
,
乾燥性皮膚炎
,
爪囲炎
,
多職種チーム医療
Keyword:
ざ瘡様皮膚炎
,
乾燥性皮膚炎
,
爪囲炎
,
多職種チーム医療
pp.840-844
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034080840
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
がん治療は,近年目覚ましい進歩を遂げ,生存率の向上に大きく貢献している.しかし,その一方で,さまざまな副作用が患者のQOL(生活の質)を低下させる要因となっている.中でも皮膚障害は頻度が高く,身体的問題だけでなく社会的問題までも含めて患者の苦痛を惹起する重要な副作用の1つである.すなわち,生命予後にかかわるような重篤な症状や機能障害ではなくても,たとえば「脱毛等のアピアランスの変化を受け入れられない」「ざ瘡様皮膚炎のために(接客業等で)人前に出られない」等の外見的障害により社会性が損なわれ,患者のQOL低下を招いてしまうことが特徴である.そしてわれわれ医療者が患者の皮膚障害に対応するにあたり注意しなければならないことの1つとして,「皮膚障害の評価には主観的要素が多分に含まれる点」が挙げられる.患者本人の主観的満足度が高くなければQOLの改善が得られないことが皮膚障害の特徴である.
本稿では,がん治療における皮膚障害の中でも抗がん剤治療における皮膚障害について取り上げる.抗がん剤の種類,投与方法,患者の基礎疾患等によって症状は多岐にわたり,適切な理解と管理が求められるため,本稿では,抗がん剤治療によって生じる皮膚障害の種類,原因,症状,治療および予防や管理方法,そして患者のQOL向上に向けた取り組みについて解説する.

Copyright© 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All rights reserved.