特集 大腿骨近位部骨折のリハビリテーション診療
第5章 大腿骨近位部骨折に関するリハビリテーション治療
Column 転倒予防法のエビデンス
北村 新
1
,
大高 洋平
2
1藤田医科大学保健衛生学部リハビリテーション学科
2藤田医科大学医学部リハビリテーション医学講座
pp.773-775
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.32118/cr034070773
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はじめに
高齢者は加齢に伴い種々の機能が低下することで転倒しやすくなる.地域在住の高齢者が1年間に1回以上転倒する確率は,国際誌のシステマティックレビューによると約27%であり 1),国内の調査に限定するとおおよそ20%前後である 2-6).高齢者の転倒の10%は骨折を伴い 7),その後の自立した生活や生命予後に重大な影響を与える 8, 9).わが国の調査では,転倒は入院や事故死の要因として最も頻度が高く,要介護の要因としては認知症と脳卒中に次いで割合が大きい 10).医療費や介護保険費用等の経済的負担も大きく,今後もさらなる増加が予測されるため,高齢者の転倒や転倒に伴う外傷の予防は,超高齢社会であるわが国にとって重要な課題である.

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