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内容のポイント Q&A
Q1 大腿骨頚部骨折に対する人工物置換術の適応は?
高齢者大腿骨頚部骨折に対する人工物置換術の適応は,転位型頚部骨折をはじめとした再手術リスクの高い各種骨折型以外に,内固定後の壊死や偽関節例,陳旧性骨折例,病的骨折例,変形性関節症合併例,リウマチ等関節炎疾患合併例等も含まれる.併存疾患の病態も考慮のうえ,人工物置換術の適応を検討する必要がある.
Q2 大腿骨頚部骨折に対する術式やインプラントの選択は?
高齢者大腿骨頚部骨折に対する人工物置換術は,年齢や活動性,併存疾患の有無に応じて,人工骨頭置換術ないし人工股関節置換術が行われる.従来人工骨頭置換術が選択されることが多かったが,近年ではわが国のガイドラインをはじめ,高齢者頚部骨折に対し人工股関節置換術を推奨するガイドラインが増えてきている.インプラント選択についてはセメントステムが術中骨折,術後骨折,術後の緩みが少なく,その他の合併症や術後死亡率で差がないとされており,セメントステムの使用を推奨するガイドラインが多い.
Q3 大腿骨頚部骨折の急性期におけるリハビリテーション治療は?
高齢者の大腿骨頚部骨折症例は内科的な併存疾患により全身状態が不良である場合が多く,術後の離床が遅れがちである.また,認知機能の問題から荷重や動作制限の順守が難しい場合も多い.そのため,術後翌日から安静度に制限を設ける必要のない手術手技と,術後早期の積極的なリハビリテーションの介入を両立することがADL低下を最小限に食い止めるために重要である.
Q4 大腿骨頚部骨折における注意すべき合併症は?
高齢者大腿骨頚部骨折に対する人工物置換術後に,再手術の原因となる術後合併症として,頻度が高いものから順に,脱臼(29%),感染(16%),インプラント周囲骨折(13%),インプラントの緩み(3%)等が挙げられる.これらの合併症が生じた場合の身体的,医療経済的な負担は大きく,依然として高齢者頚部骨折治療における解決すべき課題となっている.

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