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内容のポイント Q&A
Q1 大腿骨頚部骨折に対する骨接合術の適応は?
Garden分類に基づく転位型,非転位型のみが骨接合術の適応決定の判断材料とはなるわけではない.若年者では股関節機能を最大限に温存する必要があり,あらゆる骨折型に対し骨接合術を考慮すべきである.一方,高齢者では早期荷重によるADLの回復が優先されるべきであり,骨折型,骨質等を考慮し,即時全荷重に耐え得る内固定が可能な症例が骨接合術の適応となる.
Q2 大腿骨頚部骨折に対するインプラントの種類と特徴は?
回旋安定性,角度安定性,またはその両方を備えるタイプに大別される.明確な選択基準は存在しないため,骨折型に応じた選択が望ましく,転位型に対しては回旋安定性,剪断型骨折に対しては角度安定性を重視したインプラントを選択する.
Q3 大腿骨頚部骨折に対する急性期におけるリハビリテーション治療は?
非転位型骨折では早期荷重による合併症は少ない.非転位型,転位型にかかわらず早期荷重が受傷前歩行能力の維持に有用であることは明白であるが,前額面剪断骨折やPauwels Type Ⅲに対する荷重開始時期について明確な指針はない.大腿骨頚部の過度の短縮は股関節機能障害を引き起こすことが知られているが,高齢者ではある程度の機能障害は許容せざるを得ないため,年齢,骨折型,骨質および目標とするADL等を総合的に検討し荷重開始時期を決定する.ただし,高齢者に対する長期間の荷重制限は避けるべきであり,即時全荷重に耐え得る固定性の獲得が困難であることが予測される場合には,人工物置換術を考慮する.
Q4 大腿骨頚部骨折に対する危険動作,骨頭壊死や固定性不良によるインプラントのゆるみ等,注意すべき事項は?
関節可動域訓練が術後転位や骨頭壊死の発生に関与するというエビデンスは今のところ報告がない.固定性不良は骨質,骨折部の安定性(骨折型と術後整復位)およびインプラントの固定力に依存する.これらのうち,術後整復位とインプラントの固定力は術者がコントロール可能であるため必要十分な整復位の獲得とインプラントの選択を行う必要がある.

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