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効率よく安全に:裏切らない筋トレ法
谷本 道哉
1
1順天堂大学スポーツ健康科学部
キーワード:
レジスタンストレーニング
,
筋肥大
,
筋力増強
,
力学的ストレス
,
化学的ストレス
Keyword:
レジスタンストレーニング
,
筋肥大
,
筋力増強
,
力学的ストレス
,
化学的ストレス
pp.268-274
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034030268
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レジスタンストレーニングはサルコペニア予防に効果的
スクワットやベンチプレスのような筋力トレーニング,いわゆる筋トレは,筋に抵抗(レジスタンス)をかける運動という意味からレジスタンストレーニング(以下,RT)とよばれる.RTを実施する重要な意義の1つとして,加齢による筋萎縮,サルコペニアの予防,改善が挙げられる.骨格筋量は加齢とともに減少し,20代後半から50歳までに平均で全体の約10%が,50歳から80歳までの間にさらに30%以上が減少するとされる 1).骨格筋量の減少は高齢者の生活機能と身体活動量を低下させる 2, 3).また,疾病のリスクの増大にもつながることが報告されている 4).
RTはサルコペニア予防に効果的である.たとえば,横断研究では,週3回程度のRTの習慣がある平均年齢68歳の高齢者では加齢による筋萎縮の進みやすい膝伸展筋と肘屈曲筋の筋力,筋横断面積,単位断面積あたりの筋力,筋短縮速度のいずれにおいても平均年齢28歳の若年者と同等であったという報告がある 5).ランニング, 水泳を習慣的に行っている同年代の高齢者ではそのような結果は認められていない.運動介入研究では85〜97歳の高齢被験者が12週間の膝伸展RTによって,大腿四頭筋の横断面積が9.8%,速筋線維においては22%, 膝伸展筋力は37%増大したとする報告がある 6).RTに対する筋の適応は高齢においても維持される.サルコペニア対策としてRTを行わないことは非常にもったいない選択といえるだろう.

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