巻頭言
リハビリは裏切らない—患者さんからの言葉
桑平 一郎
1,2
1東海大学医学部内科学系呼吸器内科学
2付属東京病院呼吸器内科
pp.632
発行日 2018年8月17日
Published Date 2018/8/17
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- 文献概要
ぜひ皆様にお伝えしたい患者さんからの貴重なメッセージがある.以前,日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌および理事長挨拶などにも紹介させていただいたことがあるが,医療に携わる皆様方,特に若い方たちにご一読いただきたいと思う.
数年前になるが,私は冬休みを利用し,20年以上にわたり拝見している40歳代の患者さんとそのご家族を訪問した.私が担当する初診外来でお目にかかったのは,彼女がまだ20歳代の前半の頃であった.肺炎,呼吸不全で緊急入院となったが,胸部X線は高齢者の肺気腫のようであり,驚くとともに自分の目を疑った.退院後は外来で経過観察を行ったが,実はお母様も彼女を出産した後に,30歳代の若さで呼吸不全にて亡くなられていた.確定診断が得られぬまま経過観察を続けていたが,この間にご結婚もされ,披露宴には私も出席させていただいた.しかし,年月を経るに従い呼吸状態は悪化し,残念ながら寝たきりの状態となってしまった.その彼女が肺移植を希望されたのである.手術は無事に終了,術後は徐々に改善し,在宅酸素からも解放され,家事もでき,買い物や散歩にも外出できるまで回復したのである.最終的には,摘出肺から,稀少疾患である原発性線毛運動不全症(primary ciliary dyskinesia:PCD)との確定診断が得られた.
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