特集 AWGC2023基準の悪液質とリハビリテーション医療
Column サルコペニアの摂食嚥下障害患者における悪液質・低栄養と臨床推論
前田 圭介
1
1愛知医科大学栄養治療支援センター
pp.1420-1421
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033141420
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サルコペニアの摂食嚥下障害
サルコペニアの摂食嚥下障害は全身のサルコペニアに併存し,嚥下関連筋量減少と筋機能低下が病因の摂食嚥下障害を指す 1).サルコペニアの摂食嚥下障害患者は,他の病因によって生じた摂食嚥下障害患者に比べ,生命予後が不良である.一方,サルコペニアの摂食嚥下障害はリスク因子を事前に同定することができる 2)ことから,予防的な介入も可能である.
全身の筋量減少および嚥下関連筋の運動機会の減少等,低栄養がサルコペニアの摂食嚥下障害の原因の1つであると推察できる.低栄養は,疾患関連低栄養と非疾患関連低栄養に大別され,疾患関連低栄養は,急性炎症による低栄養,慢性炎症による低栄養,さらに炎症のない低栄養に分類される(図).ほとんどの慢性炎症による低栄養は,悪液質として既に知られている病態である.また,低栄養診断基準は,グローバルな診断基準(GLIM基準) 3)が2024年からわが国の診療報酬規則に導入され,臨床活用が始まった.全身のサルコペニアは加齢,低活動,栄養素不足,急性・慢性疾患等検討すべき原因が多い.
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