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特集 AWGC2023基準の悪液質とリハビリテーション医療
がん患者における悪液質の病態とマネジメント
Mechanisms and Management of Cachexia in Cancer Patients
坂口 達馬
1
,
森 直治
1
Tatsuma Sakaguchi
1
,
Naoharu Mori
1
1愛知医科大学緩和ケアセンター
キーワード:
がん悪液質
,
集学的治療
,
栄養治療
,
運動療法
,
薬物治療
Keyword:
がん悪液質
,
集学的治療
,
栄養治療
,
運動療法
,
薬物治療
pp.1394-1400
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033141394
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内容のポイント Q&A
Q1 がん患者における悪液質の病態とは?
悪液質は骨格筋量の減少を主徴とする,多因子によって引き起こされる低栄養の症候群である.主なメカニズムとして慢性炎症があり,病因別低栄養分類において,「慢性炎症を伴う疾患関連性低栄養」に分類される.腫瘍と宿主の相互作用によって炎症性サイトカインが活性化され,食欲不振や代謝異常が生じ,骨格筋の異化が亢進する.さらに化学療法等の抗がん剤治療やその副作用も骨格筋量を減少させる要因となる.
Q2 がん患者における悪液質の集学的治療とは?
悪液質は多因子が関与しているため,薬物療法単独では満足な効果が期待できず,集学的治療が最適とされる.栄養ケアに加えて,運動療法や薬物療法といった多方面からのアプローチで悪液質のさまざまな要因に対応し,栄養状態および骨格筋量の維持・改善を目指す.また,質の高い集学的治療には,多職種によるチーム医療が不可欠である.患者や家族と医療者が治療やケアの目標を共有し,それぞれの専門性を活かした医療の提供が求められる.
Q3 がん患者における悪液質の対応の将来展望は?
日本ではがん患者に対してアナモレリンが利用可能となったが,現在,いくつかの有望な薬剤が開発されつつあり,集学的アプローチに新たなモダリティが加わることが期待されている.栄養ケアや運動療法に関しても新たなエビデンスが生まれ,より高度な集学的治療が検討されている.また,悪液質対策のもう1つの柱である早期からの予防的栄養ケアについても,アジア人向けの悪液質診断基準が提唱され,今後は悪液質の啓発や早期診断が進むことが期待されている.
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