特集 老年栄養―高齢者の低栄養,フレイル,サルコペニア
疾患と栄養ケア
がん悪液質と栄養ケア
森 直治
1,2
1愛知医科大学 医学部大学院医学研究科緩和・支持医療学
2愛知医科大学病院 緩和ケアセンター/栄養治療支援センター
キーワード:
がん悪液質
,
不可逆的悪液質
,
マルチモーダルケア
,
食の苦悩
Keyword:
がん悪液質
,
不可逆的悪液質
,
マルチモーダルケア
,
食の苦悩
pp.215-219
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_215
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Summary
▪がん悪液質は,栄養摂取量の減少と代謝障害による異化亢進のため骨格筋量が減少し,生命予後やQOLの悪化をもたらす.
▪栄養状態とその可逆性を考慮し,悪液質の段階に応じた栄養ケアの目標を設定する.
▪悪液質の初期は,経口摂取量減少が栄養状態悪化の主要因で,栄養摂取量の減少を防ぐ予防的栄養ケアを行う.
▪高齢者では同化抵抗性が高度なため,栄養状態の悪化を未然に防ぐことが重要である.
▪多因子症候群である悪液質に対し,栄養ケアとともに運動や薬物療法を含めたマルチモーダルケアが推奨されている.
▪高度代謝異常により栄養状態の可逆性が失われた状態では,食事や栄養に対する患者や家族の思いに寄り添い,食の苦悩の緩和に努める.
© Nankodo Co., Ltd., 2022