特集 健診データで困ったら─こんな検査結果を持ってこられたら
【各論】
8.NT-proBNPが異常値だったら
小林 泰士
1
,
佐藤 幸人
1
1兵庫県立尼崎総合医療センター 循環器内科
キーワード:
急性心不全
,
慢性心不全
,
NT-proBNP
,
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
,
腎不全
Keyword:
急性心不全
,
慢性心不全
,
NT-proBNP
,
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
,
腎不全
pp.762-765
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200312
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Case
腎血管性高血圧症による急性心不全の1例
患者:87歳,女性. 既往歴:高血圧
現病歴:夜間入眠中に突然の呼吸困難を訴え,当院へ救急搬送となった.起座呼吸を呈し,血圧242/140mmHg,心拍数120回/分,呼吸数32回/分,SpO2 88%(酸素10l/分投与下・リザーバーマスク)であった.酸素投与下の血液動脈ガス分析では呼吸性アシデミアを認め,採血検査では心筋逸脱酵素の上昇は認めなかったものの,BNP 1,024.5pg/ml,NT-proBNP 13,674pg/mlと著明な上昇を認めた.胸部X線ではbutterfly shadowを認めたが,心電図でも心エコーでも虚血性変化は認めなかった.
経過:クリニカルシナリオ11)の急性心不全と診断し,血管拡張薬を用いて降圧を開始,さらに非侵襲的陽圧換気(NIPPV)を用いて呼吸状態を改善させた.各種精査の結果から右腎動脈狭窄を認め,カテーテル治療を行って血圧は安定化した.BNP 58.7pg/ml,NT-proBNP 784pg/mlまで改善し,独歩退院となった.
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