特集 誤嚥性肺炎とリハビリテーション
第1章 誤嚥性肺炎の予防
誤嚥性肺炎予防のための嚥下機能評価法:VE, VF
柴田 斉子
1
Seiko Shibata
1
1藤田医科大学医学部リハビリテーション医学I講座
キーワード:
嚥下造影検査
,
嚥下内視鏡検査
,
誤嚥性肺炎
,
病態診断
Keyword:
嚥下造影検査
,
嚥下内視鏡検査
,
誤嚥性肺炎
,
病態診断
pp.640-645
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.32118/cr033070640
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内容のポイント Q&A
Q1 VE検査とVF検査それぞれの長所と短所は?
どちらの検査も嚥下運動を可視化できるところに最大の長所がある.VEは咽頭腔内の構造や分泌物貯留の状態,食塊の流れを直接観察できるが,嚥下中のホワイトアウトや内視鏡の死角によって一部観察できない場合がある.VFは舌骨・喉頭挙上や嚥下時の咽頭腔縮小の左右差等を観察できる長所があるが,放射線被曝低減のため検査時間に制約がある.
Q2 VE検査とVF検査で何がわかり,何がわからないか?
VE検査とVF検査は摂食嚥下障害の病態生理を明らかにし,嚥下の安全性と効率性を向上させるために有効な治療手段を決める検査である.検査から必要な情報を得るために,検査前に何を見るべきかを明らかにして検査に臨むべきである.摂食嚥下障害の原因疾患,病歴や身体所見,摂食状況の変化や問題点を検査前に十分把握することが病態生理を推測するうえで必要となる.
Q3 誤嚥性肺炎予防のためにVE検査とVF検査をどのように活用すべきか?
誤嚥性肺炎予防には,嚥下障害の病態を理解し,嚥下の安全性と効率性の向上に有効な対策を取り入れることが必要になる.必要とされるタイミングで,それぞれの検査の特徴を活かして嚥下機能評価を実施し,有効な対策の変更を図っていく.日ごろの食事状態,体調を注意深く観察し,一過性ではない変化に気づいたときが検査のタイミングと考える.
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