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はじめに—回復期リハビリテーション病棟概要
脳血管障害の回復期とは,急性期治療の期間を脱し,症状進行や意識障害などの期間は過ぎて,運動機能,言語機能,嚥下機能,高次脳機能などの障害が残存し,リハビリテーションの効果を最大限に期待できる期間であり,一般的には発症後数週間〜半年間頃の期間と考えられている.本邦では2000年に回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)入院料が新設され,脳血管障害や骨折などで急性期病院に入院した患者に対して集中的なリハビリテーションを提供している.2024年3月時点で病床数は90,000床を超えて,近年もわずかではあるが増加している.
回復期病棟に入院する患者は生命の危機は乗り越え,全身状態は安定したものの,さまざまな障害が残存している場合が多い.集中的なリハビリテーションによる機能回復の課題だけでなく,多くの心理・社会・経済的問題が生じやすく,リハビリテーション療法士だけでなく,さまざまな専門技術・知識をもった医療スタッフがチームを組んで,生活・社会復帰を目標に取り組んでいる.回復期病棟の特徴として,下記が挙げられる.
① 脳血管障害,骨折,循環器疾患,廃用症候群など,入棟する対象疾患が限定される(表1)1).
② 入院期間が比較的長く,最も濃密に集中的にリハビリテーション治療を受けられる期間といえる.
③ リハビリテーション治療以外のほとんどの検査,治療が入院料に包括される.
入院料が段階的に設定されており,質の評価として重症患者の入院割合や在宅復帰率,アウトカム評価として実績指数などがあり,いかに合併症や全身状態悪化を減らして,安全にリハビリテーション治療を実施するかが重要である.近年の診療報酬改定では栄養評価や歯科診療などの嚥下に関連する内容が診療報酬の加算に追加されており,管理栄養士や歯科医師,歯科衛生士などの入院中のかかわりも重視されている.

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