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特集 各種障害を有する小児に対する支援機器のあり方と可能性
ICT機器を用いた重度重複障害児の意思伝達支援
How can ICT help children with severe and multiple disabilities to communicate?
引地 晶久
1
Akihisa Hikiji
1
1一般社団法人できわかクリエイターズ
キーワード:
重度重複障害
,
ICT機器
,
意思伝達支援
,
視線入力装置
Keyword:
重度重複障害
,
ICT機器
,
意思伝達支援
,
視線入力装置
pp.546-550
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033060546
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Q1重度重複障害児との意思伝達の現状は?
発声は困難で,表情の変化も乏しく,身体の動きもわずかな重度重複障害児の場合,かかわりの中から表情や身体の動きの変化,筋緊張の変化,呼吸状態やSpO2等のバイタルサインといった小さな反応の変化を観察し,その変化から主観的に重度重複障害児の意思を汲み取ろうとしてきた.これらの観察での意思伝達支援はとても重要であるが,われわれがどこまで重度重複障害児の小さな反応を受け取れているのか不安に感じることも多い.さらに,受動的な意思伝達から能動的な意思伝達支援には繋がりにくいのが現状である.
Q2ICT機器を用いた意思伝達支援は?
重度重複障害児の小さな身体の動きや表情の変化を,ICT機器操作の入力手段として活用することが可能である.入力手段が見つかれば,タブレットやパソコン等のICT機器を活用して,写真やイラスト等のカードを選択することが可能となり,重度重複障害児から発信できる能動的な意思伝達手段の経験にも繋がるのである.さらに,視線入力を通じてどのように見ているのか知ることで,より深い意思伝達支援に繋げることが可能となる.
Q3改めて考える意志伝達の形とは?
機器を活用した意思伝達というと文字,定型文,写真やカード等がイメージされるだろう.しかし,重度重複障害児にとって,それらを用いることだけが意思伝達の手段ではない.たとえば家族の写真を撮る,友達と一緒に遊ぶといった,人とつながる活動を経験していくことも,大切な意思伝達支援であると考える.特に児の場合は意思伝達をしたいという思いをまずは育んでいきたい.
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