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内容のポイント Q&A
Q1 リハビリテーション医療現場で活用できる漢方薬は?
食欲が低下して体力維持が困難なときは,六君子湯や補中益気湯,これに貧血症状が合併しているときは十全大補湯,慢性閉塞性肺疾患が原因のときは人参養栄湯,冷えによって疼痛が生じているときは,当帰四逆加呉茱萸生姜湯,桂枝茯苓丸,気力低下には補中益気湯,うつには香蘇散,半夏厚朴湯,興奮には抑肝散,不安には加味帰脾湯が有効である.
Q2 具体的な処方方法とその有効性についてのエビデンスは?
食欲不振に対して六君子湯は,摂食や胃および十二指腸の蠕動を促進する消化管ホルモンであるグレリンを介する作用機序で改善することが示されている.補中益気湯も慢性閉塞性肺疾患に伴う食欲不振,全身倦怠感,易疲労性,二次感染予防,リハビリテーション促進に有効性を発揮している.抑肝散も認知周辺症状に伴う興奮に対して有効性を示している.
Q3 それぞれの漢方薬における副作用や問題点は?
リハビリテーション医療現場で用いられる漢方薬は,ヒトの気力や食欲,冷え,ならびに精神を安定させるものが多く,漢方医学的には補剤というグループに属し,甘草という生薬が高率に含まれている.この作用による血圧上昇が問題となる場合があり,さらに人参が含まれるものがあるため,確率は低いが,体質的に合わない人がいる.柴胡,黄芩,附子,大黄等の生薬が多く入っている方剤には注意を要する.
Q4 サルコペニア・老年系疾患・嚥下障害等に有効な漢方治療とは?
老年疾患やサルコペニアに有効な漢方薬は,補中益気湯,十全大補湯,人参養栄湯の3大参耆剤,さらに下肢骨格筋の筋力低下には牛車腎気丸が有効である.嚥下障害は,脳障害が原因のときは,半夏厚朴湯や釣藤散が,心不全や呼吸不全等による長期臥床が原因のときは,補中益気湯をはじめとする3大参耆剤が有効な例が多い.
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