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中学校における「適塩・多菜」完全給食の導入が生徒の尿中Na/K比に及ぼす影響
-尿中栄養バイオマーカーによる食環境改善効果の評価
森 真理
1
,
来田 宣幸
2
,
吉田 博
3
Mari Mori
1
,
Noriyuki Kida
2
,
Hiroshi Yoshida
3
1東京慈恵会医科大学 医学部・医学科 臨床検査医学講座
2京都工芸繊維大学 基盤科学系
3東京慈恵会医科大学 柏病院
pp.461-463
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn148040461
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子どもの食を育てることは,未来の健康を育てること
生活習慣病の多くは成人期に発症するが,その背景には若年期からの食習慣や味覚形成が深くかかわっている.近年では,日本高血圧学会が高血圧の予防のために中高時代からの血圧測定を推奨しており,早期からのリスク評価と適塩の食育の必要性が注目されている1).
これまでわれわれが行ってきた食育研究では,尿中栄養バイオマーカーを用いて食塩摂取量を評価してきた2).その中で,ある中学生の事例では,部活動時以外にも日常的に塩タブレットを摂取し,間食として即席ラーメンを多用していた男児で,24時間尿中食塩排泄量が24 g相当に達していた.また,5歳児でも加工食品の摂取が多い場合,推定食塩摂取量が9 gに及ぶ例もあった.
さらに,日本の児童生徒の野菜摂取量は依然として少なく,厚生労働省の報告によると中高生の摂取量中央値で1日約200 g前後に留まり3)(目標値350 g/日),女子生徒では便通が週3回未満の者が3人に1人にのぼるなど,食物繊維不足が懸念されている.
われわれも女子中高生の食育健診で健康リスクを把握しており4),若年期からの食環境改善の必要性を提唱してきた.こうした現状から,子どもが日常的に適塩で多様な野菜を摂取できる環境を整備することは急務であり,学校給食における「適塩・多菜」の実現が重要な課題と言える.

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