連載 EBN実践につなげる! 栄養疫学研究最新トピックス⑧
国民健康・栄養調査からみえた日本人の食事
松本 麻衣
1
Mai Matsumoto
1
1医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・政策研究センター 国民健康・栄養調査研究室
キーワード:
国民健康・栄養調査
,
栄養摂取状況調査
,
食塩摂取量
,
野菜摂取量
Keyword:
国民健康・栄養調査
,
栄養摂取状況調査
,
食塩摂取量
,
野菜摂取量
pp.363-368
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn147030363
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国民健康・栄養調査
「国民健康・栄養調査」(2002年までは国民栄養調査)は,第二次世界大戦後の1945年に海外からの食糧援助を受けるための基礎資料を得ることを目的に実施された調査がはじまりである1,2).その後,経済復興,食糧事情の改善,高度経済成長,飽食時代の到来等,時代の状況に即して調査項目を変え,国民の健康や栄養の状態を把握し,国における健康増進対策や生活習慣病対策の基礎資料としての役割を担ってきた.
現在の国民健康・栄養調査は,健康増進法に基づき,国民の身体状況,栄養素等摂取量および生活習慣の状況を明らかにし,国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的に毎年11月に実施されている.国民健康・栄養調査は大きく分けて,栄養摂取状況調査,身体状況調査,生活習慣調査の3つの調査で構成されている.対象者は,国民生活基礎調査において設定された単位区から層化無作為抽出された全国300地区に居住する1歳以上(調査年の11月1日時点)の世帯員全員である.なお,世帯主が外国人である世帯,3食とも集団的な給食を受けている世帯,住み込み,賄い付きの寮・寄宿舎等に居住する単独世帯は対象外となっている.
毎年調査が実施されているため,継続的なモニタリングが可能であることから,健康増進を目的とした栄養施策における重要な資料となっており,国民が主体的に取り組める国民健康づくり運動である健康日本21(第三次)の目標項目においても,国民健康・栄養調査の結果がモニタリングの指標として用いられる予定となっている3).

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