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特集 社会的ストレスに関わる神経系の制御
社会的ストレス下における攻撃行動の生物学的基盤
Neurobiological mechanisms of aggression under social stress
高橋 阿貴
1
Aki TAKAHASHI
1
1筑波大学人間系行動神経生物学研究室
キーワード:
攻撃性
,
社会的隔離ストレス
,
社会的挑発
,
セロトニン
Keyword:
攻撃性
,
社会的隔離ストレス
,
社会的挑発
,
セロトニン
pp.825-829
発行日 2026年2月28日
Published Date 2026/2/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu296090825
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ネグレクトや孤立,そして他者からの敵意や挑発など,攻撃性の問題の多くは社会的ストレスに起因して表出される.これらの社会的ストレスは,動物モデルにおいても攻撃行動を亢進させることが示されている.他個体との社会的接触を剝奪する社会的隔離ストレスは,マウスやラットの攻撃性を高め,特に幼少期から思春期前期の時期に隔離飼育された個体は,攻撃行動が異常なパターンに変容する.このような攻撃行動の異常は,社会環境に戻すとともにフルオキセチン投与を行うことで回復することが示されている.また,社会的挑発という手法では,自分のなわばりに攻撃できないライバル個体が登場することにより,一時的に興奮が高まり,その後の攻撃行動が倍増する.このような社会的挑発による興奮には,扁桃体や背側縫線核の関与が示されている.社会的ストレスに起因した攻撃行動モデルは,人間の問題行動としての攻撃性と高い共通性を持っており,これらのモデルを用いて攻撃亢進メカニズムを解明することで,人間の臨床における暴力行為などの問題の原因となる生物学的基盤の理解につながることが期待される.

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