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特集 社会的ストレスに関わる神経系の制御
恐怖反応を緩和する安寧フェロモン
An appeasing pheromone that ameliorates fear responses
清川 泰志
1
Yasushi KIYOKAWA
1
1東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室
キーワード:
ラット
,
社会的緩衝
,
フェロモン
Keyword:
ラット
,
社会的緩衝
,
フェロモン
pp.830-835
発行日 2026年2月28日
Published Date 2026/2/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu296090830
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動物は嗅覚シグナル,特にフェロモンを介して情報を伝達する.筆者らはラットにおいて,恐怖反応を緩和する “安寧フェロモン” の存在を明らかにした.まず,同伴ラットがいると恐怖反応が緩和されることが判明した.そしてこの効果は,同伴ラットの匂いと系統に依存することが判明した.そこで,社会的緩衝を引き起こす系統に共通する匂い物質に着目したところ,2-メチル酪酸のみを提示しても同伴ラットの匂いと同等に恐怖反応を緩和することが明らかになった.また,2-メチル酪酸は微量で効果を発揮し,扁桃体を抑制することも確認された.さらに,ラットと同種であるが野生型である野生ドブネズミ(Rattus norvegicus)においても,2-メチル酪酸は新奇物を避ける行動である新奇性恐怖を緩和することが明らかになった.以上の結果から,2-メチル酪酸はドブネズミにおいても恐怖反応を緩和する安寧フェロモンであることが明らかになった.

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