リウマチ性irAE -――ICI使用中の患者が筋骨格系の疼痛を訴えたときのアプローチ

Rheumatic irAE ――How to approach arthralgia in patients on ICI treatment

　リウマチ性irAE（免疫関連有害事象）は，免疫チェックポイント阻害薬（ICI）使用中の患者の約5～10％にみられ，そのなかでも筋骨格系の疼痛を訴えるものは，筋炎型，関節炎型，リウマチ性多発筋痛症（PMR）型，脊椎関節炎型などに分類される．ただし，ICI使用中の患者の関節や筋肉の痛みがすべてリウマチ性irAEとは限らない．副腎不全をはじめとする内分泌系irAEや，変形性関節症，外科的閉経に伴う卵巣欠落症状など，幅広い原因を考慮し，臨床像，検査，画像所見を総合して丁寧に鑑別することが重要である．特に，即時にステロイド治療が必要となるのは，筋炎に心筋炎や重症筋無力症を合併する場合，副腎クリーゼを呈する場合などに限られる．多くの症例では時間的猶予があるため，安易にステロイドを開始せず，まず適切な診断を最優先すべきである．診断確定後は原則として国際的ガイドラインに従った治療を行うが，慢性化・持続化する症例では，狭義のirAEにこだわらず，一般的なリウマチ・膠原病として治療を進めるほうが適切な場合も少なくない．