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Journal of Clinical and Experimental Medicine Volume 295, Issue 9 （November 2025）

医学のあゆみ 295巻9号（2025年11月発行）

Japanese English

第5土曜特集心不全診療の未来戦略――ゲノム，AI，多臓器連関が拓く新時代

AIを活かした未来の心不全診療

音声解析を用いた在宅で心不全評価が可能な技術 “Voice-BNP” の開発と社会実装 Development and real-world implementation of “Voice-BNP” ――Home-based heart failure assessment via non-invasive voice analysis 田村雄一 ^1,2 Yuichi TAMURA ^1,2 ¹国際医療福祉大学医学部循環器内科 ²株式会社カルディオインテリジェンスキーワード：心不全（HF） , 音声バイオマーカー , MFCC（メル周波数ケプストラム係数） , 在宅遠隔モニタリング , プログラム医療機器（SaMD） Keyword: 心不全（HF） , 音声バイオマーカー , MFCC（メル周波数ケプストラム係数） , 在宅遠隔モニタリング , プログラム医療機器（SaMD） pp.868-871

発行日 2025年11月29日 Published Date 2025/11/29

DOI https://doi.org/10.32118/ayu295090868

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　心不全（HF）は高齢化に伴い患者数が増え，在宅下での非侵襲・反復可能な病態評価の需要が高い．音声は呼吸，発声，共鳴といった生理機構を反映し，うっ血や呼吸仕事量の変化を間接的に捉えうる．これまで音声から抽出した特徴量と機械学習により，BNP（脳性ナトリウム利尿ペプチド）推定やNYHA分類・胸部X線所見の識別が報告され，音声解析の臨床的有用性が段階的に検証されつつある．本稿では，こうしたエビデンスを踏まえ，単音節中心の短時間音声を収集し，MFCC（メル周波数ケプストラム係数）を核とする音響特徴をデータ駆動で組み合わせる在宅評価技術 “Voice-BNP” の開発と社会実装の構想を概説する．HF入院直後，治療介入後，外来安定期，健常人の各群で収集した単音節音声から群間弁別と病態段階の識別に有望な成績を得たため，今後は在宅スクリーニング/モニタリングに資するプログラム医療機器（SaMD）として社会実装され，入院抑制といったアウトカム改善につながる可能性がある．